法改正で推進されるICT活用と監理技術者の専任義務合理化とは?
建設業の担い手確保に向けて、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」が令和6年6月14日に公布されました。
そのうち、監理技術者の専任義務合理化や価格転嫁、ICT活用に関する一部規定が2024年12月13日に施行されました。
詳細はこちら
<背景>
建設業は、他産業よりも賃金が低く、就労時間も長いため、担い手の確保が難しくなっています。建設業が「地域の守り手」等の役割を果たしていけるように、時間外労働規制等にも対応しつつ、処遇改善、働き方改革、生産性向上に取り組む必要があるとして、さまざまな法改正や制度改正の議論が続いている状況です。
第三次・担い手3法の概要 建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 の一部を改正する法律(概要) 抜粋|国土交通省
今回、施行されました規定は以下の通りです。
<ポイント>
・契約書の法定記載事項の追加
・価格転嫁協議の円滑化に関する通知ルール
・建設業者の処遇確保義務
・情報通信技術の活用に関する努力義務規定の創設
・公共工事における施工体制台帳の提出義務の合理化
・監理技術者等の専任義務に係る合理化・営業所技術者等の職務の特例
これまで監理技術者等は工事現場に専任しなければならないこととされてきましたが、情報通信技術の利用(一般的なスマートフォンやタブレット端末など)により工事現場の状況の確認ができる等の場合には、政令で定める金額・現場数の範囲で兼任が可能となりました。
施行規則において、兼任が認められる要件を以下のとおり定めました。
【建設業法】 現場技術者の専任合理化(R6.12.13施行) 抜粋|国土交通省
連絡員とは、現場の状況等をICT機器(スマートフォン等)を活用し、監理技術者や専任技術者のサポートを行う役割の方を指します。工事の請負会社で選任することは必要ですが、正社員に限らず派遣社員等を配置することも可能です。
あわせて営業所に専任しなければならない営業所技術者等についても、同様の措置によって専任を要する現場技術者の兼務が可能となりました。
技術者制度の見直し方針 抜粋|国土交通省
<まとめ>
この改正によって建設業界には以下のような効果をもたらすことが期待できると考えられます。
1.人手不足への対応
・監理技術者・営業所技術者が複数の現場を管理できることで、人手不足の課題が緩和される。
2.現場管理の効率化
・ICT技術の活用により、現場の管理作業の負担が軽減され、業務効率が向上していく。
3.重複作業の削減
・監理技術者が複数現場を担当できるため、これまでの専任義務による作業の重複が減少する。
助太刀総研としても、「建設現場を魅力ある職場に」できるよう、引き続き調査・研究をしていければと考えております。
<参考>
・建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について|国土交通省
・第三次・担い手3法(品確法と建設業法・入契法の一体的改正)について|国土交通省
・【建設業法】 現場技術者の専任合理化(R6.12.13施行)|国土交通省
・技術者制度の見直し方針|国土交通省
助太刀総研 運営事務局
Sukedachi Research Institute