建設工事の受注動態と労働需給:最新データから見る建設業

国土交通省より直近で発表された調査について、2つ紹介させていただきます。
<この記事のPOINT>
- 2月の建設工事受注総額は3ヶ月ぶりに減少
- 民間部門は3ヶ月連続の増加、公共部門は減少
- 2月の建設労働需給は、8職種で0.3%の不足
- 今後の労働者確保の見通しは、4月および5月は「困難」が減少傾向
<建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)>
令和7年度2月分の建設工事受注動態統計調査報告(大手50社調査)を発表しました。
建設業者の建設工事受注動向及び公共機関・民間等からの受注工事の詳細(発注者別、業種別、工事種類別、地域別)を把握することを目的とした調査となります。
<受注総額>
- 1兆2,799億円(前年同月比:△3.3%、3ヶ月ぶりの減少)
<民間部門>
- 受注額:8,434億円(前年同月比:+0.5%、3ヶ月連続の増加)
- 製造業は増加(同:+7.7%)、非製造業は減少(同:△3.3%)
- 発注者別
- 増加(金融業、保険業、卸売業、小売業、製造業)
- 減少(運輸業、郵便業、不動産業、サービス業)
- 工事種類別
- 建築は増加、土木は減少
- 増加(工場・発電所、事務所・庁舎、土木その他)
- 減少(住宅、教育・研究・文化施設、鉄道等)
<公共部門>
- 受注額:3,685億円(前年同月比:△7.9%、先月増加からの減少)
- 国の機関は減少(同:△17.6%)、地方の機関は増加(同:30.7%)
- 発注者別
- 国の機関:増加(独立行政法人)、減少(政府関連企業、国)
- 地方の機関:増加(市区町村、都道府県、地方その他)、減少(地方公営企業)
- 工事種類別
- 建築は増加、土木は減少
- 増加(教育・研究・文化施設、建築その他、上水道・下水道等)
- 減少(道路、湾岸・空港、治山・治水等)
<海外部門>
- 海外工事:208億円(前年同月比:△56.7%、3ヶ月ぶりに減少)
<建設労働需給調査>
令和7年2月分の建設労働需給調査結果を発表いたしました。
本調査は、建設技能労働者の需給状況等を職種別・地域別に毎月10日〜20日までの間の1日(日曜、休日を除く)を調査対象日として調査を行っております。対象となる職種は以下となります。
型わく工(土木)、型わく工(建築)、左官、とび工、鉄筋工(土木)、鉄筋工(建 築)、電工、配管工
今回は、令和7年2月10日〜20日までの間の1日(日曜、休日を除く)を調査対象日として調査しております。
結果は以下のとおりです。
<全国の過不足率>
- 8職種の過不足率は0.3%の不足(前月比:△0.3%)
- 型わく工(建築)、鉄筋工(建築)は過剰、その他の職種で不足状況
<今後の労働者確保の見通し>
- 翌々月(4月)
- 「困難」「やや困難」:17.7%(前年同月比:△6.5%)
- 「やや容易」「容易」:8.5%(前年同月比:+0.6%)
- 翌々々月(5月)
- 「困難」:14.0%(前年同月比:△6.9%)
- 「容易」:7.4%(前年同月比:+2.1%)
<まとめ>
令和7年2月の建設工事受注動態統計は、総受注額は前年同月比で3.3%減少し、3ヶ月ぶりに減少となりました。特に海外工事の大幅な減少は、国際市場における競争激化や経済的な不確実性が影響していると考えられます。
国内では、民間部門の受注が製造業の進展に支えられ回復傾向を示す一方、サービス業など非製造業の停滞が一部の陰りをもたらしました。また、公共部門の受注は国の機関が減少傾向にあるものの、地方自治体の積極的な公共投資により増加を見せています。このことは、地域開発に向けたポジティブな動きとして評価できると思います。
建設業界では、引き続き受注の増加に対応するための労働力の確保が重要であり、特に不足が続く職種に対する対策が求められると考えます。
<参考>
・令和7年2月の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)結果|国土交通省
・建設労働需給調査結果(令和7年2月分調査)について|国土交通省

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Sukedachi Research Institute