「建設リーダーズ — 建設業の未来を語る」 (一財)建設経済研究所 佐々木理事長インタビュー:後編 〜建設業の働き方にも多様性を〜

助太刀総研所長である北川が1つのテーマについてお話しを伺う「建設リーダーズ — 建設業の未来を語る」。(一財)建設経済研究所(通称:RICE)の佐々木基さんとの対談の後編となります。
前編はこちらから
後編では、建設業における働き方や働く人の多様化についてお話しを伺いました。
職人にも働き方の多様性を
〜機動的に動けるような制度やシステムの構築〜
佐々木:時代によって変化していく必要があるのは教育の仕組みだけでなく、建設現場の環境、働き方についても同様だと思っております。
例えば、地球温暖化が進む中で一定の気温以上の日には作業を止めて、その労働時間は別に確保するなど柔軟な働き方を認めてもいいのではないでしょうか。
また、社会的にも兼業(ダブルワーカー)などの働き方の多様化が進んでおります。建設業法で派遣をすることは禁止されていますが、機動的に動けるような制度やシステムを構築していくことも考える必要があると思います。
北川:夏場の時期や災害発生時など特定の条件の場合にのみ、他の現場でも活躍できるという制度やシステムができると職人の働き方も多様化してきますね。
佐々木:災害復旧についても、例えば、期間を定めて一時的に臨時社員として機動的に企業が職人を雇うことができれば、会社にとっても、職人にとっても、地域社会にとってもメリットがあると考えられます。技能者の働き方として、仕事に合わせて、拠点を変えていくなども良いかもしれませんね。

自国の5倍以上稼げないと外国人は来ない?
北川:日本で活躍されている外国人の方々も年々増えてきております。建設業界における外国人人材についてどう思われますか。
佐々木:外国人の方々は建設業界にとって、貴重な人材となっております。今後も日本が選ばれるような努力が必要になってくると思います。
現在、韓国やオーストラリア、ヨーロッパに多くの外国人が流れております。大きな要因としては、日本の経済力が落ちていることが考えられます。外国人が選定する際の基準として『仕送り等を考えると、現地との賃金格差が5倍以上でないと魅力を感じない』と言われております。
北川:賃金格差5倍以上はすごいですね!佐々木さんが考える日本の魅力とはどういったところでしょう。
佐々木:もともと、日本の企業が海外進出に際して、地元の労働者をリスペクトし、育ててきたことが高く評価されています。相手の国民性をしっかりと理解した上で親身に教育を行ったり、家族や仲間にも喜ばれるようなことをしていけば、日本へのファンは増えていくと思います。これは金銭面では測れない日本の価値ではないでしょうか。
北川:経済力では他国と比べると劣るところはあるかもしれないですが、豊かに暮らすことができるなどの魅力を伝えていくことで、新たな人材の確保に繋がってくると思いますね。
佐々木:新たな人材の確保でいうと、まだ目を向けられていないところにフォーカスしていくことも大切です。特にこれからはアフリカなどですね。
国内市場は先細りしていく状況です。海外で活躍していくことが今まで以上に求められてきます。そうなると、現地の人を育成することが必須となってきます。人材は企業にとっての貴重な財産となりますので、海外進出を視野に入れていくことも、今後は大企業に限らず地域の建設業も含めて経営者に求められるかもしれないですね。
北川:現在でも製造業では海外売上比率が5割以上の大手企業もありますし、建設業や不動産業でも一部は海外進出していますよね。企業名は日本だが、国境を超えた繋がりが主流になってくる時代がくるかもしれないですね。

日本の建設業界の展望
〜建設業の存在自体に疑問もなく、悲観もしていない〜
北川:ここまで教育のあり方、働き方の多様化、外国人人材についてお話ししていただきましたが、最後に日本の建設業界の展望についてお話しいただけたらと思います。
佐々木:結論から申し上げると、建設業が存在し続けることには何の疑問もありませんし、悲観もしていません。
国家の任務の第一は国民の人命や財産を守ることですが、日本は格段に災害が多いですし、最近も道路陥没のニュースがありましたが、インフラの老朽化は今後どこでも起きてくる事象です。こうした中で、インフラ整備は誰かがやらないといけないことです。つまりは、一定数の建設業者は今後も絶対に必要であり、残っていかなければいけないということです。
だからこそ、建設業界の人手不足をどうしていくのかを今後も真剣に考えていく必要があります。
北川:人口が減少しても、インフラの重要性は変わらないですね。国民が全体意識をもつことは重要だと思います。
安全でキレイな日本の国を維持するためには、コストをかけていくことは大切であり、自動車に次ぐ、産業としても稼ぐ力を落とさないことも求められていきそうですね。

おわりに
今回のインタビューを通じて、建設業界の世の中での必要性を改めて再認識をすることができました。教育や育成においては業界全体で取り組んでいくことが必要であること、働き方の柔軟性や多様性を認めることで、建設業界は魅力的な職場となり、人手不足の解消につながるとも感じました。
助太刀総研では、今後も建設業界に係る様々なテーマを取り上げてご紹介しますので、引き続きよろしくお願いします!

助太刀総研 運営事務局
Sukedachi Research Institute