建設業を切り開く!労務費基準改革 - 第4回労務費の基準に関するワーキンググループ

目次
国土交通省の中央建設業審議会は、2025年2月26日に「第4回労務費の基準に関するワーキンググループ(以下、WG)」を開催しました。
※「労務費の基準に関するWG」は改正建設業法(令和6年9月施工)の内容を踏まえ、建設工事の労務費に関する基準作成を目的としております。
当日の配布資料についても公開がされています。それぞれ解説をしていきます。
配布資料:第4回労務費の基準に関するWG 配付資料
当日のアジェンダは以下となります。
①実効性確保に向けた具体策(労務費・賃金の支払い)について
②受注者団体等の委員からの発表
③職種別意見交換の実施状況について
<これまでの議論内容(第1〜3回WGの内容)>
※詳細については過去の記事をご参照ください。
・第1回 労務費の基準に関するWGについて
・第2回 労務費の基準に関するWGについて
・第3回 労務費の基準に関するWGについて
第3回目のWGでは、「各契約段階で適正水準の労務費を確保するための仕組み」、第4回目のWGでは、「適正水準の労務費を下請けに、賃金を技能者にまで行き渡らせるための仕組み」の方向性から、標準労務費の実効性確保策を検討することになっております。
また、二つの方向性に共通する「公共工事の特性を踏まえた対応」も今後議論するとされています。
⒈実効性確保に向けた具体策(労務費・賃金の支払い)について
議論の内容を一部紹介させていただきます。
⑴基本的な考え方
・労務費・賃金の支払い状況の確認は、「労働者の有する能力に応じた適正な賃金支払の実現」を目的とする。
・労務費については、建設工事に従事する者の適正な処遇を確保するため、国土交通大臣が請負契約の締結状況等を調査し、その支払い状況を確認することが必要である。
・賃金については、国土交通大臣が労務費の支払い状況を確認する中で、努力義務違反や価格ダンピング規制への違反等が疑われる場合、賃金台帳等を参照して支払いの状況を確認する。
・一方、賃金は一義的には労使交渉で定まるものであり、全ての建設技能者に対する支払い状況の確認は極めて困難であるため、建設業団体等による自主的な活動の促進が不可欠である。
・労務費確保の状況を確認するためには、材工分離による労務費の可視化とそれに基づく適切な精算が不可欠である。
⑵賃金支払いに関する確認の意義と対応する判断基準
<当日の意見>
①「労働者の処遇確保」目的での賃金の確認にあたっては、まずは、確認対象の建設業者が、技能者の能力や経験に応じた比較が可能となる「CCUSレベル別年収」を支払っているかを判断基準の基本としてはどうか。
②「支払われた労務費が賃金の原資となっているか」「ダンピング受注の防止」目的での賃金の確認にあたっては、確認対象の建設業者が、通年で注文者から受け取った労務費(総額)と技能者に支払った賃金(総額)に矛盾がないかを判断基準の基本としてはどうか。その上で、契約当事者(特に公共発注者)における確認時の考え方についても、引き続き検討することとしてはどうか。
⒉受注者団体等の委員からの発表
建設業団体から、労務費・賃金の行渡りについての意見がそれぞれ挙げられました。
・日本建設業連合会 :CCUSレベル別年収に応じた労務費の行渡り実現への課題
・全国建設業協会 :「労務費の価格転嫁のための自主行動計画」の徹底
・全国建設労働組合総連合:労働環境の改善を目指す取り組みを推進する基本方針
⒊職種別意見交換の実施状況について
現状の職種別意見交換の状況について、報告されました。
<実施状況>
・第3回WG以降、鉄筋、型枠、住宅分野について、職種別意見交換(第2回)を実施し、労務費の基準の示し方や示すに当たっての留意点、実効性の確保について議論
・他職種における第二弾の職種別意見交換の実施に向けた準備を実施(左官、電工、塗装 等)
<主な論点>
①労務費の基準(素案)の作成について
労務費の基準作成では、公共工事設計労務単価を基に計算方法を示し、個別契約で調整を行う。
建築分野では、建物の規格や仕様に応じた明確な前提を設定し、業界に合った表記を求めている。
住宅分野では多様な工事業者に対応する基準が必要で、歩掛がないため、調査方法を工夫して基準を改善する方針。
②労務費の基準の実効性の確保について
労務費の基準の実効性確保には、見積書作成で元請と下請の意見を反映し利用しやすくすることが重要である。労務費に加え、雇用に伴う必要経費も考慮し、労務単価の41%の基準を維持する。
一般管理費を除き、建設副産物の処理経費も含め、商慣行の定着を図るため、標準見積書に詳細版と簡略版を用意し、小規模事業者に配慮する。
<今後のスケジュールについて>
今後のスケジュールは以下のようになっております。
次回の開催は3月頃を予定しております。

<まとめ>
今回のWGでは、役割分担の明確化、契約約款の改正、行政と民間の連携強化、新規制度の導入などの議論が行われました。これらの取り組みは、業界内で公正な競争環境を育み、働く人々の待遇改善を目指すものになると思われます。
また、受注者団体からの意見を取り入れることや、職種別の意見交換を行うことで、多様な視点からの改善が期待されます。今後、この施策がどのように実行され、その成果がどのように評価されるかが、建設業界全体の発展と労働環境の向上につながる鍵となるでしょう。

助太刀総研 運営事務局
Sukedachi Research Institute