公平で実効性のある労務費基準へ -第6回労務費の基準に関するWG-

国土交通省の中央建設業審議会は、2025年3月26日に「第6回 労務費の基準に関するワーキンググループ(以下、WG)」を開催しました。
※「労務費の基準に関するWG」は改正建設業法(令和6年9月施行)の内容を踏まえ、建設工事の労務費に関する基準作成を目的としております。
第6回WGが、3月26日に開催されました。議論内容をそれぞれ解説していきます。
当日の配布資料についても公開がされています。
※配布資料:第6回労務費の基準に関するWG 配付資料
当日のアジェンダは以下となります。
(1)公共工事における実効性確保について
(2)職種別意見交換の実施状況について
<これまでの議論内容(第1〜5回WGの内容)>
※詳細については過去の記事をご参照ください。
・第1回 労務費の基準に関するWGについて
・第2回 労務費の基準に関するWGについて
・第3回 労務費の基準に関するWGについて
・第4回 労務費の基準に関するWGについて
・第5回 労務費の基準に関するWGについて
⒈公共工事における実効性確保について
公共工事における労務費の適正な支払いを確実にするため、さまざまな議論が行われました。主な論点は以下の通りです。
<基本的な考え方とロードマップ>
公共工事は税金を原資としているため、透明性と公平性が極めて重要です。国土交通省は、公共工事が民間工事のモデルとなるよう、先駆的な取り組みを推進しています。
一方で、地方公共団体では技術職員の不足が深刻な課題となっており、新たな制度導入が過度な負担とならないよう、段階的な導入と中長期的な目標を定めたロードマップが示されました。具体的には、法施行直後に実施すべき事項と、将来的な材工分離や賃金支払い状況確認システムの構築が盛り込まれています。
<労務費適正化に向けた各段階の取り組み>
入札・契約段階と賃金支払い段階で実施される主な施策をまとめました。

2. 職種別意見交換の実施状況について
労務費基準設定に向け、さまざまな建設職種を対象とした意見交換が進められています。これまでに、鉄筋、型枠、住宅、左官、電工、塗装、とび、内装の各職種で意見交換が実施され、今後も空調衛生、土工、屋根、鉄骨、解体などに拡大予定です。
各職種から出された意見を、主要な論点ごとに整理しました。

3. まとめ
公共工事における労務費の基準に関する議論は、建設業界全体の持続可能性と担い手確保に直結する重要な課題です。今後も、各職種の具体的な意見を反映させながら、実効性のある制度設計が進められることが期待されます。
今回の議論で特に注目されたのは、公共工事の特性と民間工事の実態、そして土木と建築の相違点をどう調和させながら、公平で実効性のある基準を構築していくかという点でした。デジタル化やAIの活用も、こうした課題を解決するための重要な要素となっていくと考えられます。

助太刀総研 運営事務局
Sukedachi Research Institute